大村彦次郎『文士の生きかた』(ちくま新書)

二〇〇三年一〇月一〇日第1刷 発行
ISBN:448006138X

芥川龍之介 9
 青酸カリによる自殺−−芥川の生い立ち、薄綿をのばし兼ねたる霜夜かな−−優しさと弱さ−−同時代人評価


葛西善蔵 23
 津軽の文学碑−−〈おせい〉浅見ハナとの出会い−−酒と極貧の一生−−徒弟北川清蔵、ただそれだけのわが世なりしか


嘉村礒多 30
 郷里からの駆落ち−−葛西善蔵の口述筆記者になる−−「業苦」「崖の下」でデビュー−−愛人小川ちとせの行方


直木三十五 55
 兄危篤、弟植村清二の上京−−年上女房の仏子須磨子−−〈芸術は短く、貧乏は長し〉−−旧友鷲尾雨工との確執


徳田秋聲 73
 山田順子への惑溺−−沈滞期、ダンスホールへ通う−−白山芸者富弥こと小林政子−−『小説はむずかしいものだね」


近松秋江 89
 漱石を面白がらせる−−祗園の芸妓金山大夫と名作「黒髪」−−情痴物から愛児物への転向−−不遇な晩年とその死


葉山嘉樹 105
 満州開拓団の一行に加わる−−収監中にデビュー作「淫売婦」を書く−−木曽谷の飯場暮らし−−敗戦後の非業の死


宇野浩二 121
 ジフィリスによる発狂−−伊沢きみ子との淪落の日々−−理想の恋人村上八重にめぐり逢う−−晩年と傑作「思ひ川」


久保田万太郎 137
 妻の自殺、ふッつりと切ったる縁や石蕗の花−−お祖母さん子−−〈タコと芝居は血を荒らす〉−−三隅一子との再会


10谷崎潤一郎 155
 落魄した弟妹たち−−石川千代から義妹せい子へ−−佐藤春夫へ妻を譲渡する−−古川丁未子から根津松子へ走る


11高見順 171
 〈祝高見順入院〉の壮行会−−「ニフウさんにはかなわない」−−石田愛子から水谷秋子へ−−〈最後の文士〉の死


12山本周五郎 187
 質屋の小僧に住み込む−−〈須磨寺夫人〉への思慕−−一匹狼の大森馬込村文士−−代表作「青べか物語」の誕生


13和田芳恵 203
 「一葉の日記」で芸術院賞−−大衆雑誌「日の出」の編集者−−小説「塵の中」で直木賞−−自伝的長篇「暗い流れ」


あとがき 219
参考資料 220