谷田昌平『回想 戦後の文学』(筑摩書房)

一九八八年四月二十五日初版第一刷 発行
ISBN:4480822429

目次
編集者になるまで−−堀辰雄との縁  3
昭和二十八年の夏−−小説家の生活に初めて接して 13
福永武彦−−人生が芸術であるかのように生きる 17
武者小路実篤野間宏−−入社の年に会った人 24
柴田錬三郎−−『週刊新潮』創刊のころ 27
石川淳−−昂然たる姿勢を崩さなかった文士 32
幸田文−−料理・洗いもの好きの人柄がにじむ文学 37
第三の新人”たちを知る−−「構想の会」のころ 41
丸岡明と原民喜−−対照的だった二人の作家 47
伊藤整−−奮闘し続けた、温厚な紳士 52
室生犀星−−「女ひと」への讃美と愛惜の思い 60
武田泰淳−−「森と湖のまつり」のころ 66
中野重治−−厳しさを持ち、妥協せぬ文学者 72
大江健三郎−−開高健と並び文壇に新風をもたらす 78
新田次郎−−山岳小説を文学として確立 82
昭和三十年代前半の文学−−「歴史の曲り角」に新鋭や才女が輩出 86
近代文学』の人びと−−私的にも親しくした先輩たち 90
司馬遼太郎−−歴史に夢を馳せる 99
「純文学書下し特別作品」−−純文学の過渡期の発刊 104
安部公房−−『砂の女』で始まった親密な付合い 109
有吉佐和子−−社会問題を先取りして小説を書く 114
遠藤周作−−カトリック文学者の敬虔さと奇矯ぶりと 120
昭和五十年代の文芸雑誌−−短編小説の衰弱で文芸雑誌に翳り 124
島村利正−−起伏の多い人生の襞がにじみ出る 128
堀田善衛−−飄々として、やさしさを秘めた人 135
丹羽文雄−−天衣無縫の生き方から生まれた文学 142
中村真一郎−−その博識とロマンへの情熱 146
吉行淳之介−−『夕暮まで』が完成するまでの十三年 152
佐多稲子−−一途に生き抜いた人のやさしさ 158
菊村到−−巧みなストーリー・テラーの誕生 162
小島信夫−−未完に終わった「いつかまた笑顔を」 166
円地文子−−素養と小説家の技術を『源氏物語』に結晶 172
津村節子−−同人雑誌での苦節十年に堪えて…… 176
吉村昭−−誠実で緻密な人柄から生まれた迫真の記録文学 179
結城信一−−独特の芯の強さで自己の美意識を貫く 183
山本健一−−「無私」「自己没却」の批評の姿勢を貫く 187
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晩年の室生犀星
 一、ひさびさの作品集『黒髪の書』出版 193
 二、「女ひと」讃歌 201
 三、理想の女性像 209
 四、作品に影をおとす女性 217
あとがき 222