安田武『昭和青春読書私史』(岩波新書)

1985年10月21日 発行

復讐は神の怒り−−『モンテ・クリスト伯』−− 1


 その頃・1 13


少年の日のリリシズム−−『銀の匙』と『桑の実』−− 21


 その頃・2 35


海と風−−モーパッサン『ピエルとジャン』その他−− 39


時は過ぎゆく−−田山花袋をめぐって−− 51


 その頃・3 63


愛の妖精−−ジョルジュ・サンド−− 71


軍靴の遠い跫音−−『生活の探求』の周辺−− 83


 その頃・4 95


虚無とロマンと−−ツルゲーネフ『父と子』と『初恋』−− 101


「うしろつき」のいい女−−水上瀧太郎の三つの顔−− 115


純粋の「愛」を求めて−−女学生たちのジイド−− 127


 その頃・5 139


紅灯の街へ−−『墨東奇譚』考−− 145


真夏の『雪国』−−川端康成の少女たち−− 157


運命の予告−−『西部戦線異常なし』−− 171


 あとがき 183

*追記 『墨東奇譚』は正式には“墨”の字に“さんずい”がつきます。

村上元三『六本木随筆』(中公文庫)

昭和五十五年三月十日 発行

 目次


現代麻布の七ふしぎ 11
赤坂と芸者 14
溜池界隈 17
離宮と兵営 20
青山付近 23
渋谷あたり 27
内藤新宿 30
不動尊いろいろ 33
四谷あれこれ 36
明治は遠く 40
牛込 43
雑司ヶ谷鬼子母神 52
千姫八百屋お七 55
掃除町の大崎辰五郎 58
白山御殿 61
「豊島区史」 65
山吹の里 68
狐と芸者 71
ある忘年会 74
桜さくら 78
半田の稲荷 81
要町に住む友人 85
鳥居坂について 88
麻布十番 91
安鶴さんの思い出 94
泉岳寺と正福寺 98
芝大神宮 101
初代梅沢昇 107
高輪大木戸 111
板橋の縁切榎 114
愛宕山 117
わたしの祖父 121
橋の名は 124
天保六花撰」のこと 127
豊川稲荷 130
香華三つ 133
九段坂 137
有馬ッ原 140
神輿ぶり 143
明治の物価 146
長谷寺騒動 150
蝦蟇池 153
「施無畏」の額 156
長谷川伸全集」を終わって 160
地見屋 163
「加賀見山」の実説 166
南部坂 170
「総穏寺の仇撃」後日 173
去年今年 176
七福神 179
願かけいろいろ 183
大佛さんと菊田さん 186
食物について 190
明治食物抄 193
鶴 196
東京倶楽部 200
道玄坂 203
すしとそば 206
船 210
むかしの海路 213
演出おぼえ書 216
唐土歴代地図」 219
原稿用紙とノート 223
新選組」の思い出 226
江戸の物売 229
加賀の落首 233
鳥羽みやげ 236
刀のこと 240
正月の話 243
食生活 246
女の化粧 249
お家騒動 253
夏の風物 256
風邪と歯痛 259
皇漢薬 262
笠のいろいろ 266
ひいき心 269
パンツ一枚で 272
「絵本時世粧」 276
土師先生のこと 279
字と文章の癖 282
伊香保の湯 286
曲独楽 289
藤島さんと二十六日会 292
馬の話 295
神仏めぐり 299
川西実三氏を悼む 302
「街迺噂」 306
このごろ思うこと 309
仁和寺晋山式 312
五箇山 316
花いろいろ 319
からくり 322
廓ばなし 325
馬琴の作料 329
君尾と幾松 332
果物のこと 335


あとがき 339

今日出海『隻眼法樂帖』(中央公論社)

昭和五十六年五月三十日 発行

 目次


隻眼法樂帖


 生きて法楽 11
 名犬と駄犬−−故大森義太郎のこと 14
 河野一郎と福田童蘭と強盗と 17
 深田久彌のこと 20
 マルロオのこと 24
 余暇と余裕 27
 京の行事 31
 パリの唐招提寺展 34
 花を見て 37
 東大寺の普請場を見る 40
 大鰐の一夜 43
 里村欣三の戦死等々…… 47
 大々勝 51
 パリの娘へ 54
 明治村の帝国ホテル 58
 庶子のことなど 61
 赤坂の宿 65
 デング熱 69
 穏眼 73
 都の西北−−杉道助のこと 77
 演歌師南喜一 81
 吉田茂さんとの初対面 85
 楽しい夜 89
 成金時代 93
 織部との因縁あれこれ 98
 凡人閑話 101
 食べものと味覚 105
 煎茶と珈琲 109
 鰰と秋刀魚 113
 梅干 116
 精神の衛生学 120
 初夏を待つ 124
 近況 128
 鎌倉にて思うこと 132
 本郷西片町 136
 地続き 140
 荷風と洋傘 144
 孫逸仙を見た 148
 方言さまざま 152
 ブーローニュの森 155
 死に場所 159
 藩意識 163
 泥棒に追い銭 167
 律儀な吉川幸次郎 170
 饒舌 174
 芸術祭と池田勇人 177
 勤勉実直 181
 老骨 184
 クリシュナ・ムルティ 188
 晴耕雨読 191
 劇的終末 194
 濡れた顔 198
 冬籠りの日々 201
 金婚式 204
 貰い物文化 208


片目草紙
 狸 215
 中立国国民 218
 牡丹 221
 舌びらめ 224
 歴史を黙らせるもの 227
 戦争の中での“笑い” 230
 モロ族の島々 233
 由なきこと 236
 好きな画家 239
 味気ない話 242
 空虚な言葉の革新 245
 肥満文化児 248
 サンタ・キアラ像 251
 ポッペン考 254
 狸と狢 257


あとがき 261

杉浦明平『偽「最後の晩餐」』(筑摩書房)

一九九三年三月二十日初版第二刷 発行
(一九九二年十二月十五日初版第一刷 発行)
ISBN:448081325x

目次


 1飴玉探し
最後の晩餐 5
石がれいとトマト 8
野菜今昔 12
育てるだけのハーブ 16
晴耕雨読 20
鶏の水炊き 26
私小説「パンと米」 30
苺づくり 35
サクランボ 40
飴玉探し 45
トウモロコシ考 49


 2本集め六十年
本集め六十年 59
三冊の本 63
病院での読書 70
創る苦しみとよろこび 76
差別と表現 81
文語体と根強さ 89
物の言葉 92
土屋先生の摂生力 99
二十五首を選ぶ 103
啄木の歌は私小説的だ 109
立原道造と軽井沢 112
わが付き合いし文壇の人びと 116


 3花の半島
出さなかった一通の手紙 127
家系譜 129
コンプレックスに憑かれて 134
七の読みかた 139
室原知幸之墓 142
アンチ・ユートピア 147
ほととぎすとウの花 152
初秋の声 155
草の花が咲く 159
女と草木と 169


 4中国の旅
ひいきの引倒し 179
垣間見ただけの中国 181
中国の魚の味 184
私の中国紀行 188
毛沢東の遺体 204
竜虎図のついて 206
中国の銀耳 210


 5老いの周辺
老いの悲しみ 215
老いの嘆き 219
老いを見つめる 223
老人文学について 231
死の恐怖について 235
道元敬遠 241
幕の開くまで、もう十年生きたい 247


 あとがき 249

高橋呉郎『週刊誌風雲録』(文春新書)

2006年1月20日第1刷 発行
ISBN:4166604864

               『週刊誌風雲録』目次


  プロローグ 7


第一章 ザラ紙・ヤミ紙からの出発 17
 “六階行き”を命ず
 人と出会い、話し、「当用日記」に書きとめる
 “出版ブーム”の陰に用紙難アリ
 センスのよい“鬼軍曹”


第二章 「週刊朝日」の時代 35
 連載小説が定期読者をつかむカギ
 小説のはずが、瓢箪から駒で……
 サラリーマン読者を開拓した吉川英治
 ツキを呼んだ「富栄の日記」
 「ニュース大衆誌」の萌芽
 喧嘩と手打ち
 美空ひばりのトップ記事
 草柳大蔵の夢、梶山季之の夢
 菊池寛賞を受賞する
 ライバル週刊誌の勃興
 朝日に“雑誌屋”はいなかった


第三章 「週刊新潮」の登場 73
 アイデアは脱「週刊朝日」、ヒントは「ニューヨーカー」
 草柳流ライター心得
 「マスコミ通り。文学通り、マルクス通り」 
 陰の天皇斎藤十一
 剣豪小説『柳生武芸帳』の誕生
 シバレン、吉田茂と人気連載がヒットする


第四章 開花したストリート・ジャーナル 103
 「俗物主義」を徹底させた斎藤・野平コンビ
 面白い原稿は倍の長さに書き直させる
 「左手の中に“私”を握りしめながら右手で書く」
 ストリートの情念
 山口瞳『男性自身』を生み出した男
 井上光晴のコメント主義
 新米編集者がつかんだ一枚の名簿が……
 徳間康快の決断と「アサヒ芸能」
 風俗記事も特ダネで
 事業拡大と見果てぬ夢


第五章 ブームの幕開け
 「週刊明星」の参入
 三島由紀夫が連載エッセイを
 ライター梶山季之の産声
 “鬼の室伏、仏の梶山”
 「皇太子妃は決まった!」、校了直前に現れたのは……
 スクープと報道協定
 雑誌の“社風”とライターの気質


第六章 戦国時代の到来 169
 「週刊文春」の創刊
 トップ屋集団・梶山グループの誕生
 「人と会うために酒を飲め」
 「あさっては皇太子さまのご結婚……」
 「下山事件」を掘り起こす
 原稿料は酒代に消え……
 「文春の牧歌時代は終わった」
 サラリーマン読者と「週刊現代
 雑誌は消えても、ライターは残った


第七章 ビジュアル誌の先駆け 197
 ミッチー・ブームの蚊帳の外だった「女性自身」創刊号
 誌名、定価、表紙−−創刊時の三つの決断
 読者調査は都会と農村広告増収を生み出した
 準デスクだった種村季弘
 児玉隆也の企画力
 小島襄と竹中労
 美空ひばりを描いた芸能ジャーナリズム
 「週刊平凡」のリライターをつとめた女性作家


  エピローグ 229


 あとがき 240
 主要参考文献 242

本多秋五『古い記憶の井戸』(講談社文芸文庫)

一九九二年四月一〇日第一刷 発行
ISBN:406196173x

  目次


第一部 初期習作−−一九二五〜一九三六年−− 11
 言葉の価値その他 13
 新居雑話 17
 埋め草にでも 20
 郷愁 22
 夜の日記 37
 暁闇の光景 46
 北川君の追憶のために 60
 クリティーク 62
 逆鱗 64
 奉天一巡記 67
 レーニントルストイ評について 77
 藤森成吉氏著『渡辺華山』について 84
 日常 86
 無抵抗 101


第二部 戦後の雑記類から−−一九四六〜一九七〇−− 105
 『近代文学』同人雑記・編集後記 107
 『戦争と平和』について 153
 少数者のために 164
 壺と胡桃 166
 『戦争と平和』ノート 172
 トルストイ討論会についての報告 175
 違法性阻却と責任阻却 182
 夏日幻想 196
 わが文壇処世術 199
 わが青春記−−留置場からの恋文−− 215
 嵐もよいの日 218
 住居について 222
 私の人生観 225
 下萌えの賦活 237
 貧乏礼賛−−九〇まで生きても−− 240
 私の今いるところ 243
 三人の影響者 247
 遠心力と求心力 249
 天皇陛下の息子 255
 手錠 257
 青い空 259
 安楽往生 263
 批評家の無念 267
 浅春偶思 272
 挫かれたものの時代−−戦後二〇年の感想−− 273
 月報について 280
 文学の復讐 284
 アレ 288
 昔の日記 292
 近況−−自転車営業 295


第三部 生い立ち回想−−一九五〇〜一九七七年−− 297
 古い記憶の井戸 299
 戦死した兄のこと 364
 サイパンの旅 382
 鋼治兄のこと 422
 瓜蔓乱抽 441
 古戦場 448
 鎌倉で会う旧友 452
 名古屋の思い出 455
 無題 458
 

人と作品(川西政明) 460
年譜(藤本寿彦) 480

著者目録 492