廣津和郎『年月のあしおと』(講談社)

昭和三十八年十一月十日第四刷 発行

目次
私は牛込矢来町で生まれた 9
泉鏡花と雨蛙 12
紅葉の白足袋、鏡花の畳つきの下駄 15
物心地つく頃 18
母の想い出 23
最初の自己嫌悪 27
村山家の茶の間 31
犬の世界 33
中村吉蔵 38
永井荷風 44
鶴巻町の家 49
川上眉山 55
蝶の採集と目白 59
雑誌「にひしほ」の発刊 62
私のティーン・エージ 65
留め男−−後の張宗援 69
早慶戦中止・吉岡弥次将軍 72
ゲートル騒ぎ 76
独歩、白鳥、岩本素白 78
投書時代 80
理由なき反抗 83
江原素六先生のことども 89
思い思いの道 92
同級生だったことを知らない青山杉作 97
我流の病気抵抗法 98
青山練兵場の砂埃 101
坪内先生とショー研究 104
休講掲示場に出講掲示の出る島村抱月教授 108
教師も学生も駈足の啓蒙時代 113
なまけ者の学生たち 118
文壇には中途退学生が出て行く 120
仲間のあつまり 122
「奇蹟」という誌名の由来 124
「奇蹟」時代 127
上州つ子の峯岸幸作 132
電燈のコード 136
金尾文淵堂 141
就職を逃げまわる 146
女の一生」の翻訳 152
霞町の家を追立てられる 152
その頃の兵事係と出入り商人 157
父の病気−−毎夕新聞入社−−宇野浩二 167
やつと毎夕新聞を退社する 181
宇野浩二三保の松原へ 185
併し私は東京を逃げて来たのだ 189
宇野の家にころがり込む 194
西方町時代(一) 197
西方町時代(二) 202
茅原華山の「洪水以後」に入社 207
文藝時評の筆を執る 214
ねんねこ半纏 220
兄 225
文藝時評家となる 235
片瀬−−鎌倉時代 236
「怒れるトルストイ」を書く 242
滝田樗陰 251
「三土会」と「十日会」 258
宇野の処女作「蔵の中」 262
大正八年という年 267
本郷・八重山館時代 272
出版の失敗 281
関東の大震災 285
葛西善蔵の「蠢く者」 292
馬込時代 296
湯ケ島行き 301
湯ケ島や紫式部青式部 305
菊富士時代 308
葛西善蔵の死 322
宇野浩二病む 329
青山脳病院で芥川に遭う 339
正気と狂気の差は壁一重 344
芥川龍之介の自殺 346
父の死 348
あとがき 357